(国選定)主計町 重要伝統的建造物群保存地区における軒下配線の導入
今回整備を行った道幅2m
前後の裏通り(整備前)
川沿いの道路は平成5年に
地中化方式により整備されました。
低コストな無電柱化手法を現場の条件、街なみの特徴を活かして複合的に取り組む「金沢方式無電柱化事業」の第一号となった主計町地区の計画から設計を担当しました。
対象となった主計町の裏通りは、極めて狭い路地で地中化方式による整備は困難でしたが、重伝建地区の選定を受けた街なみは、茶屋建築の建物が揃っていることから、軒下配線の導入を検討することになりました。
軒下配線の導入にあたっては、住民のみなさんの同意がなければできないことから、計画段階から住民参加によるワークショップを行い、理解を得ながら設計とりまとめを行いました。
~ 軒下配線方式導入の3箇条 ~
  ● 建築物が隣接し、壁面線・軒がある程度揃っている
  ● 地権者との合意が得られること(連接区間で全件)
  ● 建築物が除却(建て替え)される恐れが少ないこと

軒下配線の状況
幹線ケーブルの整備方法
・電力高圧幹線及び通信の一部幹線は地中管路で整備
・地中管路は浅層埋設で整備(舗装厚+20㎝の土被り)
・安全のため防護板を設置
軒下配線の整備方法
・軒下配線の採用により路上機器(低圧分岐箱)数を軽減
・軒下配線部は保護管(軒下配管)を設置
・保護管は壁面の色合いに合わせて着色
・電力線は各戸に宅地側分岐箱を設置し配線
・通信用は将来需要を見込んで配管
軒下配線に関する合意形成
地権者にとって架空配線の場合と条件が同じになるよう施設の負担区分を取り決めて、地権者、電線管理者、市の三者で覚書を交わしています。
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住民参加ワークショップによる計画設計
常に問題となる地上機器の設置場所について、実物大の模型を用いて住民の方々と一緒に検討を行いました。
軒下への配管についても現地で確認を行い理解を得ました。
模型を使って場所選定
用地提供の協力を得て機器を設置し、板塀で目隠し(用地は市が買収)
整備前と整備後
軒下配線方式のメリット
軒下配線の導入には、地元地権者と電線管理者及び行政の一致協力が必要不可欠ですが、整備費用は地中化に比べ極めて安くなります。
また、地元住民のコミュニティーの醸成にも繋がります。
軒下配線は、重伝建地区をはじめ、街なみを保存していこうとする地区において、極めて有効な整備手法です。